大金星を挙げた。秋田ノーザンハピネッツが強豪A東京に78-64で勝利。連敗を5で止めた。これまでは外国人選手のクオーター(Q)ごとの出場人数を「1、2、1、2」に固定していたが、この日は「2、1、1、2」に変更。インサイドを積極的に攻めるなど、体を張った泥臭いプレーで序盤から流れを手放さなかった。長谷川誠ヘッドコーチ(HC=45)も若いチームにとって自信になると胸を張る快勝劇を見せた。

 泥臭くつなぎ、決めた。前日とは見違える気迫だった。球際に飛び込み、リバウンドに競り勝つ。後半第3Q残り5分9秒、コート中央付近でこぼれ球に白浜僚祐(25)が倒れながら飛び込んで奪取。そのまま田口成浩主将(26)にパスし、鮮やかにレイアップシュートを決めた。「ああいうところが勝ちにつながる。いかにこぼれ球に勝つか。能力や経験は関係ない。気持ちを表す、泥臭くてもいい。ひたすらやったのが結果につながった」。47-28とリードを広げる一撃で流れを完全につかんだ。

 勝利へ、手を打った。開幕から14戦目、初めて戦術を変えた。外国人選手のQごとの出場人数を「2、1、1、2」にした。長谷川HCは「向こうも誤算だったと思う。楽勝に勝てると思う相手のメンタルのスキをつけた」と戦術でも惑わせれば、A東京の外国人選手が1人欠場という穴もつき、インサイドを攻略した。今季初めてチーム全体のアシスト数が13を記録。中、外、中とリズム良くボールが回った証拠だった。

 気持ちでも上回った。前半から守備で圧倒。A東京のシュート成功率を30・4%に抑えた。変わったのは意識だ。前日には積極的にいけなかったのを半歩前で重圧をかける。田口は「ケンカするつもりで、気持ちで負けなかった。それがシュートをちょっとずつ狂わせていけた」と話せば、6リバウンドの活躍を見せた谷口大智(26)は「積極的にいくのとファウルになるのは紙一重」と前日のビデオを徹底的に分析。ファウルになるギリギリの線を見極めて体を当て続けた。

 旧NBLで絶対王者として君臨したA東京からもぎ取った勝利。長谷川HCは「今日の勝利は非常に大きい。若いチームにうまく勢いをつけたい」と喜び、田口は「もっとがんばろうと思える。こういう力が出せる可能性がある」と手応えを口にした。秋田はまだ成長していく。【島根純】