女子SPで浅田真央(26=中京大)は61・29点で8位と出遅れた。厳しい現状が浮き彫りになったが、大きなミスなく演技をまとめ「次につながる」と笑顔も見せた。SP世界歴代2位の78・52点でエフゲニア・メドベージェワ(ロシア)が首位。樋口新葉(15=東京・日本橋女学館高)は5位、永井優香は12位だった。

 自己ベストから17点も低い点と「まあまあかな」という言葉とは裏腹に、浅田の表情は明るかった。連続技の最初の3回転フリップは回転不足。氷にエッジがひっかかりスピンがうまく回れないなど細かなミスはあったが、全体をよどみなくまとめた。「今の状態では良かったと、ほっとしている」と笑顔もみせた。

 6位だったGPスケートアメリカから中2週。それまで回避していたトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)と3回転の連続ジャンプを入れようと試みたが、左膝に不安を抱えての調整で「間に合わなかった」。ただ、朝の練習でフリップやループなど3回転がうまく決まり「ようやくちょっと戻ってきたかなという感じがあった」。調子が上がり始めた中で「こういう演技をできたのは次につながる」と手応えをつかんだ。

 1戦1戦を大事にする思いが衣装に表れている。これまでの2戦から髪形と化粧を変えた。後ろで束ねて固めたスタイルからポニーテールへ。まぶたの上のアイラインを太く、さらに目尻の先まで伸ばした。「気持ちを変えると自分もいいな、と思って。見ている方にもいろんな違う姿を見てもらいたい」。フリーの赤い衣装も2種類用意し、気分によって替えている。

 「目指す演技はまだ出来ていない」という悔しさはある。「ベースを崩さずにレベルアップしていかないといけない」と、厳しい現状も受け止める。そんな中で「楽しみたい」という気持ちが、次へとつながっていく。【高場泉穂】