東京都議会の東京五輪パラリンピック特別委員会が18日に開かれ、都政改革本部の調査チームがバレーボール会場の代替案として横浜アリーナを提案した調査報告書で、整備費を過少に報告したとも取れる記述があったことが分かった。委員会の答弁で判明した。

 11月1日に公表された同報告書では横浜アリーナにした場合の問題点について、競技・運営面で練習コートや選手控室の面積が不十分であったり、観客の入場スペースが少ないため、周辺地や公道の利用が必要となることを指摘。それを踏まえ、コストについて「非常に限定的。(施設使用料+営業ほてん+仮設費etc.横浜アリーナによる概算で施設使用料+1万5000席への増設費は計約7億円)」と記述していたため、多くの報道機関も横浜になった場合のコストを約7億円と伝えた。

 しかし、都の担当部局が調査チームに確認したところ、7億円の内訳は、横浜アリーナの2カ月分の使用料と1万5000席への増席分の合計のみだったことが判明。都は委員会で「周辺民有地の使用料、周辺企業への営業補償、公道の使用対策費、敷地周辺を含めた段差解消等の改修や整備費用、恒設物の移設費用、植栽の移植・伐採費などさまざまな費用がかかるとみられる」と話した。

 都幹部は「それらの費用が10億規模になるか100億規模になるか見当がつかない」と指摘。さらに都と大会組織委員会、横浜市で具体的な協議に入ったのが今月16日が初めてだったことも明らかになった。

 現行案の有明アリーナは既にこれらの問題は織り込み済みで計画され370~404億円で整備できるとしている。

 また、ボート、カヌー・スプリント会場が長沼(宮城県登米市)になった場合、海の森水上競技場建設中止にかかる負担費用が100億円程度になると、都の担当部局が公表した。執行、契約済みの揚陸施設の撤去・移設作業に約38億円、調査・設計に約9億円。さらに契約解除した場合、出来高清算、損害賠償、原状復帰などを加え約100億円になるとした。

 見直し検討されている3会場ではパラリンピックも開催されるが、調査チームは、パラリンピックの競技団体には聞き取り調査をしていないことも明らかになった。

 自民党を中心に、同本部が行った調査方法の欠点を指摘。委員会の質疑では、小池百合子知事が肝いりで設置した調査チームの提案が「針のむしろ」状態となる場面が見られた。