男子日本代表が、初めてアジア選手権で金メダルを獲得した。決勝のカザフスタン戦は、相手の強いプレッシャーにもあってシュートが決まらず大苦戦。6-6で迎えた試合終了18秒前にFP足立聖弥(21=日体大)が決勝ゴールを決め、粘る相手を突き放した。

 昨年12月の五輪アジア予選(中国・仏山)で1位になってリオ大会出場を果たした日本だが、アジア水泳選手権の水球競技で優勝するのは初。アジア大会を含めても70年バンコク大会以来46年ぶりのアジア制覇の快挙だ。もっとも、3得点と活躍したリオ五輪代表の足立は「決めるところで決めていれば、もっと楽に勝てた」と反省。大本洋嗣監督(49)も「もうちょっと日本らしい攻撃ができるかと思ったが、甘くない」と振り返った。

 試合前のミーティングでは「やることやれば、点差は離れる」ことを確認していた。ファインセーブを連発し、大声でFPを動かし続けた顎髭(あごひげ)のGK棚村克行(27=ブルボン柏崎)も「内容的にはダブルスコアだった」と話した。それでも、アジアで優勝するのは簡単ではなかった。「逆に良かったかも。高くなった鼻をへし折られたから」と大本監督。目標は来年の世界選手権(7月・ブダペスト)、そして東京五輪だ。

 この日、スタンドは立ち見も含む多くのファンが詰めかけた。元水球選手の吉川晃司が書き下ろした「ポセイドン・ジャパン」の応援ソング「オーバー・ザ・レインボー」が流れる中で5人の初代表組を含む新生日本代表が躍動した。大本監督は「超攻撃型のコンセプトだから大量点が取りたかったけれど、見ていた人にはおもしろい試合だったのでは」と話していた。