2連覇を狙う同大が今春日本代表に選ばれたWTB安田卓平(2年)の活躍で開幕6連勝を飾った。同じく6戦全勝の天理大と12月3日に京都・西京極で直接対決し、勝者が優勝となる。

 雨でぬかるんだ芝生にも、安田は全く動じなかった。最初の見せ場は立命大の圧力に押され、0-10の前半28分。左中間スクラムから右へ仕掛けた攻撃に、左WTBの安田はスクラムの背後から突然顔を出した。目の前にはきれいに空いたスペース。パスを受け貴重なトライを挙げると、19-23の後半39分には狭いスペースを突破した。相手のタックルに耐え、フランカー丸山尚城(3年)へ今度はパス。逆転トライを見事にアシストした。

 後半途中には自陣インゴールで味方からボールを受けるハプニングに動じず、ステップで相手を1人、2人と交わしながら約15メートル前進。「ちょっと焦りました。このまま(100メートル先まで進み)トライまで行ったろうと思ったけれど、全然無理でした」。関西人らしい冗談をかましながらも、存在感が際立った。

 右WTBではリオデジャネイロ五輪7人制日本代表バックアップメンバーの松井千士(ちひと、4年)が先発。松井が前節に故障から復帰し、自慢の両翼がようやく準備を整えた格好だ。松井も2学年下の安田を「SOもできるので、ゲームメークもできるし、ステップもある。切磋琢磨(せっさたくま)し合うライバルになってきた」と評す。スピードの松井に、ステップ、キックの安田。天理大戦、大学選手権と続く戦いへ、「両エース」が欠かせない存在になっている。

 昨季の安田は開幕戦から3試合出場も、右足首を捻挫。関西制覇が決まった12月の天理大戦はスタンドから見守った。「(メンバー入りを)狙えていたところだった。優勝した時はカメラのフラッシュがすごくて、それをスタンドから見て個人的に悔しかった。今度はグラウンドで優勝を味わいたいです」。FW、BK共に盤石の力強さを見せる天理大。松井の後を追うエース候補は、強敵撃破に照準を定めた。