自動車のF1シリーズで初の総合優勝を果たしたニコ・ロズベルク(31=ドイツ、メルセデス)が2日、ウィーンで現役引退を正式に発表した。

 同時にフェイスブックでも声明を出したロズベルクは「僕に本当にやり遂げるだけの根性があるかどうかはわからなかった。でも今は大きな安堵(あんど)を感じている」。10月9日の日本GP・鈴鹿で勝利した後に、総合優勝を果たして引退することを考え始めたという。そして11月27日のアブダビGPで総合優勝を決めた翌日、優勝祝賀会の後に気持ちが固まったという。ロズベルクは最初にビビアン夫人、家族、そしてメディアマネージャーのゲオルグ・ノルテ氏に伝えた。その後にメルセデスのモータースポーツチーフのトト・ボルフ氏、メルセデスPRチーフのブランドリー・ロード氏に報告したという。

 ロズベルクは「妻のビビアンには感謝しきれない。素晴らしかった。彼女は今年、自分たちには大きなチャンスがあると分かっていた。だから娘のことをすべて引き受けてくれた」。そして「この業界で25年間、僕はいつも唯一で最大の目標を持ってきていた。F1ワールドチャンピオンになるというね。登頂することができた。やり遂げた気持ちでいっぱいだよ。この2年間の大きな失望のあと、僕は狂ったようにすべてを出し尽くした。すべての石をひっくり返して、やり残しがないようにし続けた。失望は新しいレベルへの原動力になったんだ。もちろん僕が愛する家族の存在もね」とコメントした。

 今シーズン9度の優勝、2位5回、3位2回という成績を収め、82年シーズンを制している父ケケ(フィンランド)に続く、F1では2例目の親子総合王者を決めた。ロズベルクは、優勝を果たした直後、感謝の動画を両親へと送った。父ケケと母シーナのもと、モナコで素晴らしい子ども時代を送れたことについて、今も感謝の思いが強い。そんな家族思いの男だけに「自分も家族のためにいたい」。

 F1総合王者という最大の夢をかなえた5日後、愛する家族のためにロズベルクは戦い続けたレーシングカーから静かに降りた。