日本のフェンシング界に大きな功績を残した男子フルーレの太田雄貴氏(31)が4日、全日本選手権が行われている駒沢体育館で引退セレモニーを行った。

 08年北京五輪個人で銀メダルを獲得。フェンシング日本勢初のメダリストとなった。また、12年ロンドン五輪では団体のエースとして日本初の銀メダルに貢献。15年には日本人で初めて世界選手権の頂点に立った。金メダルを狙った今夏のリオデジャネイロ五輪では初戦敗退し、現役引退を決めた。

 太田氏はスーツ姿で会場中央のメーンピストに立ち、こうあいさつした。

 「フェンシングを続けて23年。ただひたすらにオリンピックの頂点を目指してやってきました。その夢はかなうことなく、キャリアーをとじることとなりました。しかし、ここまでやって来られたのは自分の力だけでなく、家族の力、指導してくれたコーチ力、協会の力、応援してくれたみなさんの力です。金メダルの夢はかないませんでしたが、松山、西藤、敷根、鈴村ら強い選手が育ってきています。若い選手に突き上げられて、僕は気持ちよく引退することができます。彼らには東京の金メダルだけでなく、次の大会でも金メダルを目指してほしい。これからは国際フェンシング連盟の理事として、日本協会の一員として、一生懸命頑張っていきます」

 すがすがしい表情で思いを語り、大きな拍手を浴びながらピストを降りた。