「ジャパンXボウル(JXB)第30回アメリカンフットボール日本社会人選手権」が12日午後7時から、東京ドームでキックオフされる。対戦は出場4年連続8度目の富士通フロンティアーズと同3年ぶり10度目のオービックシーガルズ。過去3度の顔合わせはいずれもオービックが勝利も、14、15年は準決勝で富士通に軍配が上がった。歴戦の知将・富士通藤田智ヘッドコーチ(HC=49)と、今季から采配のオービック古庄直樹HC(38)との頭脳戦も見逃せない。富士通2年ぶり2度目の優勝か、オービック3年ぶり最多9度目の制覇か、期待は高まるばかりだ。

 特定の誰かではなく、選手全員に期待がかかる。富士通・藤田HCは予想外のヒーロー出現を心待ちにした。辛勝が続いた今季は、試合ごとに立役者が代わった。開幕のIBM戦は第4QにQBキャメロンからWR中村へのTDパスが決まり、29-24で逃げ切り。10月1日のパナソニック戦では、LBニクソンのファンブルリターンTDで20-13と逆転勝ちした。リーグ最終ノジマ相模原戦では、RBゴードンが試合時間残り22秒に逆転TDラン、17-10の勝利をたぐり寄せた。そして、準決勝はIBMとの再戦。残り5秒からK西村の45ヤードFGで逆転、28-26で決勝進出を決めた。

 「今季はヤマが目の前にどんどん現れた」という藤田HC。それを乗り越え、「1つずつステップアップできた」という。「どういう形になるか分からぬままスタートしたシーズンだったが、いろいろ試行錯誤しながら進んできた」。リーグ中盤戦まで「もたもたしていた」オフェンスが、決勝を前に本領を発揮し始めた。

 オービックには過去2年の準決勝で勝ち、もう以前のような苦手意識はない。しかし、藤田HCは「お互い新しいチームなので、過去(の対戦成績)は関係ない」と言い切る。そして「しっかり戦術プランを立てる」と手綱を締めた。「オービックにはマークをどこかに絞れない。フィールドの11人全員をマークする。こちらはチームの総力をあげてぶつかる」。藤田富士通は目標のライスボウル制覇まで全員で集中する。

 ◆藤田智(ふじた・さとし)1967年(昭42)9月2日、愛知県生まれ。京大で競技を始め、QBとして活躍した。卒業後は京大コーチに就任、95年に日本一となる。その後はアサヒ飲料ヘッドコーチとして00年にチームを日本一へ導く。富士通では創部20周年の05年からヘッドコーチとなり、10年目の14年、日本一に輝く。第1回W杯などで日本代表のオフェンスを指揮した。