13歳の張本智和(エリートアカデミー)が、ジュニア世界一に輝いた。男子シングルス決勝で趙勝敏(韓国)を4-3で破った。18歳以下で争うこの大会において、13歳での優勝は06年大会を制した松平健太の15歳を抜いて同種目最年少。日本選手としては11年大会の丹羽孝希(明大)以来の優勝となった。中学生離れした勝負強さで、団体と合わせて2冠。今夏のリオデジャネイロ五輪で脚光を浴びた日本の男子卓球界に、4年後の東京五輪のホープが名乗りを上げた。

 最後は強烈なフォアで決めた。張本は、フルゲームにもつれた熱戦を制すとガッツポーズをしたまま床に倒れ込んだ。「プレッシャーから解き放たれた。自分では(目標は)4冠と言っていたが、シングルスが一番難しいと思っていた。うれし過ぎで言葉に表すことができない」と感無量の表情だった。

 まだ中学1年とは思えない冷静な作戦変更と勝負度胸で栄冠を呼び込んだ。決勝の相手は直前のダブルス決勝で完敗した韓国の趙勝敏。「自信をなくした」という状態で試合に入り、簡単に2ゲームを先行される最悪の展開になった。

 だが、ここから相手の強打をいなすように、ブロックやカウンターを織り交ぜた戦術に切り替えた。1-2の第4ゲーム途中では相手のサーブの反則で「結構大きかった」というポイントを得て、2-2に追い付いた。3回戦、準々決勝に続くフルゲームで疲労の色は隠せなかったが「3-3でも自分のプレーができた。気合です」と勝負どころで強さを発揮した。

 試合前には勝てば最年少優勝記録を更新することをチーム関係者から伝えられたという。「このチャンスを絶対に逃したくなかった」と歴史に名を刻む優勝を喜んだ。

 仙台市出身で、中国出身の両親から英才教育を受けて育った。まだ小学6年だった1月の全日本選手権で、社会人選手を破るなど小学生選手で初めて4回戦に進出。大器の片りんをのぞかせた。4月から上京し、日本オリンピック委員会(JOC)が寄宿制で有望選手を育成するエリートアカデミーで力を磨く。休む間もなく8日にはドーハ入りし、国際大会、ワールドツアー・グランドファイナルの21歳以下の部でさらに年上の選手を相手に腕試しする。

 ◆張本智和(はりもと・ともかず)2003年(平15)6月24日、仙台市生まれ。2歳から仙台ジュニアクラブで競技を始め、今春からエリートアカデミー入校。全日本選手権では小1から世代別6連覇。小3時に東アジアホープス大会(12歳以下)で8強。家族は元選手でコーチの父宇さん、95年世界選手権・中国代表の母凌さん、妹美和さん(小2)。14年春に国籍を変更し、張姓から張本姓へ。167センチ、54キロ。