2020年東京五輪のバレーボール会場見直し問題で東京都の小池百合子知事(64)は9日、定例会見で「開催できる理由」として従来計画である有明アリーナ(江東区)に関する具体的な構想を明かした。「点から面」「コストから投資」「官から民」と3つにテーマを分けて説明した。

 鈴木俊一元知事が93年、開催を決定し、その後、青島幸男元知事が中止した世界都市博覧会を行うはずだった臨海地域が、現状も未開発である点に触れ、「副都心構想などがあったが、青島さんが都市博を止めて、それからあの地域を『面』として考えてきたかどうか」と疑問を呈した。それを踏まえ、「点としての(五輪)会場ではなく、面、地域、エリアとしての発想が必要で、地域全体の価値を上げる」と語った。

 20年の東京五輪時には、有明地域では仮設で体操競技場が整備され、有明テニスの森もテニス会場として整備される。近くの青海(江東区)ではスポーツクライミングなどが開催されることが先日の国際オリンピック委員会(IOC)理事会で承認された。これに加え、大手不動産会社が大型マンションの建設を予定するなど、開発が目まぐるしい。そこに都がひとつの方向性を見いだし、有明地区を一体として開発する考えだ。

 「官から民へ」に関しては、大会後に運営権を民間に売却する「コンセッション方式」を検討中。バレーボールやバスケットボールなど競技団体の横のつながりを強化する「日本トップリーグ連携機構」と、音楽イベントの業界団体「コンサートプロモーターズ協会」がタッグを組み、民間資金を有明アリーナに投入する動きも見せている。

 有明アリーナの「カーペットを安くしたり、エスカレーター、エレベーターを取るとかは、観客やアスリートに良くない」と指摘。「(臨海地域は)30~40年放っておいた場所。お金の額ではなく、成長戦略として投資することを考えるべき」と具体的なプランを語り続けた。

 一方で、横浜アリーナ案も検討中と強調。しかし、横浜案は困難との見方が強く、バレーボールの開催地は有明になる見通し。その結論を出すIOC、大会組織委員会、都、政府による4者のトップ級会合が今月21日に開くことで調整中。小池氏は来週16日の定例会見で先に、自身の判断を述べる可能性もある。