世界反ドーピング機関(WADA)の調査チームが2014年ソチ冬季五輪と12年ロンドン夏季五輪に向けたロシアの国ぐるみの不正を認定した問題で、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は9日、「このように高度な不正システムに関わった選手や関係者はどんな形でも五輪から永久追放されるべきだ」と強く非難する声明を発表した。

 悪質な実態に国際的な批判の声が改めて出ており、18年平昌(ピョンチャン)冬季五輪へのロシア選手の参加や、同年のサッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会開催に影響する可能性も出てきた。

 IOCは、ソチ五輪に出場したロシア選手から採取した254の全ての尿検体を再検査し、ロンドン五輪に参加した全てのロシア選手についても、検体を再検査すると発表した。

 タス通信によると、ロシア・オリンピック委員会のジューコフ会長は、平昌五輪にロシア選手が出場するには追加の検査が必要との認識を示した。

 マクラーレン氏が責任者を務める調査チームが9日に公表した最終報告書は、ロシアがロンドン五輪前に78選手を対象に不正が発覚しないかを確認する検査を実施していたと指摘した。

 ロンドン五輪の再検査は、元IOC理事のオズワルド氏が責任者の規律委員会が担当する。ロシアの国ぐるみの不正システムについては、元スイス大統領のシュミド氏が委員長を務める調査委員会が対応し、制裁などの対策を検討する。

 報告書の内容について2004年アテネ五輪陸上男子ハンマー投げ金メダルの室伏広治氏は10日、「衝撃的なリポート」と受け止め、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)の浅川伸専務理事は、7月の第1弾の報告書から踏み込んだ内容となったことに「動かぬ証拠を突きつけた。(ロシアへの)強いメッセージになる」と指摘した。