国際柔道連盟(IJF)は9日、2020年東京五輪に向けた17年以降のルール改正を発表し、現在は3段階で区別する技のポイントのうち3番目の「有効」を廃止し、「技あり」と「一本」に限定した。技ありは何度重ねても一本にならず、合計2度での「合わせ技一本」は消滅する。

 男子の試合時間は5分から女子と同じ4分に短縮。IJFは技の優劣を重視し、指導差だけで4分間が終了すれば、時間無制限の延長に入る。指導は従来の4度目から3度目で反則負け。

 大胆なルール改正は、関係者によると「誰が見ても分かりやすい柔道」を志向していた国際連盟(IJF)の方針が強く反映されている。相手を投げ、倒した者が勝つ。テレビ映えも意識し、格闘技の根本でもある攻撃性を強く促した。試験導入としているものの、大筋ではこのまま採用されるとの見方が強い。

 記憶に新しいリオデジャネイロ五輪男子100キロ超級決勝。序盤に指導を受けた原沢久喜(日本中央競馬会)は、手堅い闘いに徹した王者テディ・リネール(フランス)に指導1-2で惜敗した。しかし新ルールでは延長に突入しての死闘となる。リードを奪って巧みに逃げ切る戦法は通用しなくなる。

 リオ五輪で日本人唯一の審判員を務めた全日本柔道連盟(全柔連)の大迫明伸審判副委員長は「有効や指導を細かく重ねて決着する試合は消え、選手は一本へと仕向けられる。柔道がダイナミックになる」と分析する。

 日本女子の増地克之監督は「技術と攻め続けるスタミナのある選手が求められ、日本にとって有利なのでは」と歓迎。複数の全柔連関係者は、大技をどんどん仕掛ける男子73キロ級金メダリストの大野将平(旭化成)を「新ルールに最適」と評する。

 実際にどの程度の技までが「技あり」とされるのかなど不透明な部分もあり、慎重な姿勢を示す指導者も多い。ただ、4分に短縮される男子は闘い方が大きく変わりそうだ。