新国立競技場整備事業の起工式が11日、東京・新宿区霞ヶ丘町の建設予定地内で行われ、安倍晋三首相や丸川珠代五輪相、東京都の小池百合子知事のほか、設計を担当した建設家の隈研吾氏らが出席した。

 昨年7月、旧整備計画の白紙撤回を電撃的に発表した首相は、「アスリート第1とし、世界最高のユニバーサルデザインを備え、自然環境との調和や日本らしさを取り入れた、新しい競技場の姿が描かれてきた。旧競技場の歴史を受け継ぎ、次世代のスポーツ文化発信する競技場に生まれ変わることを、確信させてくれる」と評価。「2020年東京大会は、世界一の大会にしなければならない。夢と希望を分かち合う大会にし、誇れるレガシー(遺産)を創出し、日本の力を世界に発信する。その機会にふさわしいスタジアムだ」と呼び掛けた。

 丸川氏は、「前回64年大会は、日本が戦後からの誇りを取り戻すきっかけになった。今回は、成熟した日本から新しい歴史をつくるという誇りを打ち立てる、絶好の機会だ」と述べた。

 一方、大会会場見直し問題が最終局面を迎えている小池氏は、「レガシー」のフレーズを3回繰り返し、新国立を大会後に価値あるレガシーとなることに、強い期待を示した。

 「東京大会は、環境などの持続可能性を重視している国際オリンピック委員会(IOC)のアジェンダ2020が初めて適用される大会。大会の中心となる新競技場は、まさにこれを象徴する存在になる」と指摘。「大会後も子どもから大人まで利用され、地域の防災拠点としての機能も持つ素晴らしいレガシー、東京の財産となるよう期待している」と述べた。

 その上で、「今後も国、組織委員会と緊密に連携、協力し、東京の総力をあげて大会の準備に万全を期したい」と述べ、関係機関との連携姿勢を強調した。

 新国立競技場は、地上5階、地下2階建て。敷地面積は約11万3000平方メートルで、建築面積は約7万2400平方メートル。完成時の座席数は約6万席。

 完成は、2019年(平31)11月の予定だ。