男子テニスで世界5位の錦織圭(26=日清食品)は07年10月にプロ転向し、2017年は本格的なツアー参戦が区切りの10年目を迎える。日本スポーツ界の歴史を塗り替えてきたプロ人生を振り返り、初めて「プロ人生の転機」と「思い出の試合」を選ぶとともに、10年目の決意を日刊スポーツに語った。

 銅メダルを獲得し、リオ五輪が終わった瞬間、錦織の頭の中に浮かんだのは20年東京への思いだった。

 錦織 絶対に出たいと思った。30歳になるが、最も脂が乗った時だと思う。

 リオ五輪のテニスは、賞金も世界ランクのポイントもなく、多くの選手が欠場した。錦織も最初は悩んだ。

 錦織 1、2回戦は、どこにモチベーションを持っていけばいいのか分からなかった。

 実は、五輪前、チャン・コーチに五輪出場の意義を相談していた。

 錦織 僕は何でこの大会に出るのだろうと悩みをぶつけた。そしたら、国のために戦えるのは特別なこと。そこにいられるのは光栄なことだと、励まされた。

 それだけではない。選手村に滞在することで、卓球の水谷隼や体操の内村航平ら、奮闘する日本選手を身近に感じた。

 錦織 すごい力になった。おかげで、3回戦ぐらいから覚醒した感じ。過去の五輪とは全く違う感情が芽生えた。

 北京から3度目の出場で初めて感じた五輪の大きな意味。その気持ちを、今度は20年東京で、金メダルにつなげる。