全国高校ラグビー大会は今日5日、大阪・花園ラグビー場で準決勝が行われる。連覇を目指すBシードの東海大仰星(大阪第1)は4日、大阪・枚方市内の同校でミーティングを含め約4時間半の練習。相手のAシード桐蔭学園(神奈川)には昨年4月の全国選抜大会準決勝で公式戦連勝を49で止められており、借りを返す時がやってきた。

 東海大仰星のグラウンドに、1つの大きな輪ができ上がった。約100人の部員が手をつなぎ、湯浅大智監督(35)や女子マネジャーらも加わる。「イ~チ、ニ~、サ~ン…」。全員で声を張り上げてのスクワット。4季前から続く公式戦前日の儀式で、全員練習の最後を締めくくった。

 フランカー山田生真主将(3年)は口を開くや言い切った。「メンバーじゃないやつらが、ついてくれている。そいつらのために勝つ」。仰星スタイルは変わらない。試合前日だが、登録メンバー25人を含めた全員が同じメニューをこなす。ミーティングを含め約4時間半、一般的な調整とはかけ離れた方法で、一体感が生まれた。

 準決勝は前回大会決勝で37-31と競り勝った桐蔭学園と激突する。新チームで臨んだ昨春の全国選抜大会で、返り討ちにあった相手だ。3冠をつかんだ昨季から続いていた公式戦連勝は49でストップ。前半を26-17で折り返しながら、勝ち慣れた隙を突かれて後半は無得点で26-29と逆転を許した。学んだのは「最後までやり切ること」。山田主将は「明日勝って日本一になれたら、桐蔭に負けたことがよかったと思える」と戦いを待つ。

 決戦のテーマは単純明快だ。湯浅監督は「真っすぐ走ること」と設定した。パスは精度を保たなければ、真っすぐ走れない。サポートが遅ければ、真っすぐにボールを運べない。目指すはトライへの最短ルートだ。スター選手のいない今季のチーム。全員の思いを乗せた愚直な前進で、東の横綱を食いにかかる。【松本航】