北海道科学大高はセットカウント1-2で市尼崎(兵庫)に惜敗、8強進出はならなかった。第1セットを奪って先行したが、09年準優勝校の底力に屈した。昨年11月まで30年以上指揮した工藤博己総監督(58)が「胸を張って北海道に帰ろう」と声をかけると、前日5日に創部60年目で全国大会初勝利を手にしたメンバーはむせび泣いた。

 最後はエース阪口秀英(3年)の無理な体勢で放ったスパイクが相手コート奥に外れ、挑戦が終わった。前日の24点に続いて、この日も21点を決めたが、2勝目は届かなかった。「3年生はマネジャーを含めて7人と少なかったけど、川で遊んだりして楽しかった」と、目頭を押さえた。

 昨夏の総体道予選は4位敗退。ホームセンターで買った熊手とプラスチックの板で工藤総監督が手作りしたブロック板を使い、相手の手に当ててブロックアウトを誘う練習を繰り返した。精神面では「常にあきらめない姿勢を身につけるため」(辻克典監督=29)、成績が悪く、文武両道が達成できていない生徒は体育館の隅で勉強した。

 この日のスタメンは1、2年生が4人。「後輩にはもっと勝ち進んでほしい」と阪口は次世代にバトンをつないだ。「先輩たちを超えてみせます」と桜井響也(2年)。全国1勝、強豪校と接戦。“手応え”という確かな足跡を残し、会場を去った。【中島洋尚】