東福岡が28-21で2連覇を狙った東海大仰星(大阪第1)を下し、2大会ぶり6度目の優勝を飾った。持ち味のFW、BK一体の展開ラグビーで大会5試合で311点を挙げ、同校が持つ1大会最多得点記録の298点を更新。前回優勝時と同様に選抜、7人制大会に続く2度目の年間3冠を達成した。高校日本代表候補10人を擁し、通算優勝回数6度は天理(奈良)に並んで歴代4位となった。

 東福岡が史上最強伝説を塗り替えた。「先手必勝だった」と高校日本代表候補のロック箸本主将は振り返る。一時はリードを許した準々決勝、準決勝とは一転。お家芸のFWの縦突破とBKの素早い展開が復活し、7点差で勝ちきった。5試合で311点と1大会最多得点記録を更新した。

 前回大会準決勝で敗れた東海大仰星にリベンジした。前半19分、自陣10メートルの中央ラックから左に展開し、高校日本代表候補のCTB森が約60メートルの独走から左中間にトライ。準決勝で左の膝と足首を負傷し途中交代。前日6日、宿舎では車いすで過ごしたが、試合前に藤田監督から「死んでも出す」と言われ発奮。痛み止めを飲んで強行先発し、チームを引っ張った。

 後半、2トライを許して追いつかれたが、「焦りはなかった」と箸本主将。同13分、自陣からのターンオーバーで逆襲しCTB堀川が約50メートルを疾走して勝ち越しトライ。同16分にも堀川がトライを追加し、重量FWの陰に隠れていたBKが本領を発揮した。

 7人制のU-20(20歳以下)日本代表3人を含む高校日本代表候補が10人。メンバー25人中18人は中学時代に選抜されたオール福岡で全国制覇した。藤田監督は「好素材が多い今季のチームだから、日本一へより高いレベルを目指した」。初めて福岡市のジムからトレーナーを呼び体幹トレーニングに励んだ。箸本主将は「体つきが大きくなったけど走ることもできる」。1カ月に数回、けが人も出る真剣勝負の紅白戦を行い、たくましさを増した。

 海外の強豪が集う昨年4月開幕のワールドユースでは準優勝。国内の高校生相手の公式戦は今季無傷の41連勝で終えた。最近10大会で6度目の栄冠。1、2年生の優勝メンバー13人を軸に黄金時代はまだまだ続きそうだ。【菊川光一】

 ◆東福岡 1945年(昭20)に前身の福岡米語義塾として創立し、55年に現校名。普通科のみの私立男子校で生徒数約2400人。ラグビー部は55年創部で部員131人(花園優勝6度、準優勝3度)。主な卒業生にラグビーW杯イングランド大会代表藤田慶和(パナソニック)、プロ野球村田修一(巨人)吉村裕基(ソフトバンク)、サッカー日本代表DF長友佑都(インテルミラノ)ら。サッカー、硬式野球、バレーボールも盛ん。所在地は福岡市博多区東比恵2の24の1。松原功校長。

 ◆高校ラグビーの3冠 春の全国選抜大会(00年度~)、夏の全国7人制大会(14年度~)、冬の全国大会の3タイトルを同一年度に独占すること。東福岡は14年度に続く2度目、15年度は東海大仰星が達成。

 ◆東福岡の14年度の3冠VTR 花園では高校日本代表候補12人を擁す戦力で御所実(奈良)を下し3大会ぶり5度目の優勝を飾り、史上初めて春の選抜、7人制に続く高校3冠。決勝は最多57得点、最多52点差で圧勝し、1大会通算最多得点(当時)となる298点を記録。