個人総合首位に立つ高梨沙羅(20=クラレ)が、3連勝を飾った。1回目に124メートルで首位に立つと、2回目も129メートルで2回合計263・0点。今季6戦5勝と無類の強さを見せつけた。通算49勝とし、ジャンプの男女を通じてW杯歴代最多のグレゴア・シュリーレンツァウアー(オーストリア)にあと4勝に迫った。前日の第5戦で3位だった伊藤有希(土屋ホーム)は4位だった。

 高梨が圧巻の3連勝で個人総合連覇へ、地固めに入った。通算70度目の表彰台で49勝目。ジャンプの男女を通じて歴代最多のシュリーレンツァウアーにあと4勝に迫り、日本4連戦での達成が現実味を帯びてきた。女子はラージヒル(LH)での大会は少ないとはいえ、過去7戦で6勝2位1回。精密機械のような正確なジャンプで誰よりも遠くに飛んだ。

 1回目124メートルで首位で迎えた2回目。低い助走姿勢から空中に高く舞い上がると、一気に進んでいく。グンと飛距離を伸ばし129メートルで着地。前日第5戦で17年初戦を圧勝で飾り、続くこの日の第6戦でも降雪の悪天候を苦にせず今季5勝目だ。「より浮力を得られ飛んでいる感じがいい」と、大好きなLHで再び独り舞台を演じた。

 大人への誓いを立てた。今日9日の成人式は遠征中のため、出席できないが、20歳への思いは強い。3年前に老舗呉服店「きぬたや」(本社・名古屋)に着物を発注。職人5人が手間をかけた豪華な古典柄の総絞りで、日本に1つしかない特注品だ。昨春、京都の桜の下で、仕上がった晴れ着を身にまとい記念撮影を行い、今後への決意を新たにした。「技術、精神ともに大人になりたい。行動範囲も広がるし言動には気をつけたい」と話していた。

 今季はこれで6戦5勝。2季連続4度目の女王へ着実に前進している。2月の世界選手権(フィンランド・ラハティ)での初の個人金メダルに向けても視界良好だ。「気を引き締めていきたい」。大人になった女王が、17年も主役を張り続ける。