【メルボルン(オーストラリア)=吉松忠弘】世界48位の大坂なおみ(19=日清食品)が気温35度の炎天下、2時間26分の激闘を制した。主催者推薦で同183位のラクシカー・クムクム(タイ)に6-7、6-4、7-5で逆転勝ち。ミスは出たが、持ち味の強打を貫き、予選から本戦3回戦まで進んだ昨年に続いて本戦初戦を突破した。2回戦では世界9位のコンタ(英国)と対戦する。対戦成績は大坂の0勝1敗。

 ミスなど恐れない。アウトとなろうが、ネットにかかろうがお構いなしに大坂は一発必中を貫いた。ラクシカーのカウンターを何度も食らいながらも最後は打ち勝った。「本当にうれしい。負けたくなかった」。3度目のマッチポイントで、こん身のショットで相手のバックを吹き飛ばした。

 2年前のジャパン女子オープンではストレート勝ちしていた。この日は、低い弾道が得意な相手に打っては打ち返された。「(相手は)本当に上手だった。マジよ」。うそじゃないと言わんばかりにほっぺをふくらませて口調を強めた。緩い球や山なりの球を打ち返すのが苦手と分かっても、弱点を突く戦い方はしたくない。パワーで圧倒する。それが大坂の信念だ。

 2週前に痛めた左手首の影響で、両手打ちのバックハンドの練習がほとんどできなかった。痛みはなく「完全に治っている」とはいうものの「自信がなかった」と漏らした。テーラー・コーチも「ノー・バックハンドだった」というほど、うまくコントロールできなかった。バックは第2セットまで相手の7本に対し、23本の凡ミスを犯した。チェンジコートの際、「いつもポジティブに」とコーチが書いたメモを見て、気持ちを奮い立たせた。

 昨年は全豪初挑戦で、4大大会の予選も3度目。「チャレンジャー」と恐れるものもなかった。しかし、今年は「すごく緊張した」「自分にすごく期待した」と、昨年のように無欲ではいられなかった。勝ちたい思いが強すぎた。それが空回りした。

 それでも勝った。昨年11月に錦織と同じ日清食品と所属契約を結んだ。2月3日から始まる女子国別対抗戦フェド杯では初の日本代表に選ばれた。のしかかる重圧や期待は、昨年と比べものにはならない。しかし、昨年、「英語で」と懇願していた会見の言葉は、今年、日本報道陣が英語で質問すると「日本語で」に変わった。環境も気持ちも大きく変化する。それでも、プレーだけは決して曲げることがない。

 ◆WOWOW放送予定 18日午前8時55分~、午後4時50分~、WOWOWライブ。男女シングルス2回戦ほか。生中継。放送時間変更の場合あり。