まさかの敗戦を喫した。世界ジュニア2冠の張本智和(13=エリートアカデミー)がジュニアの部男子シングルス準々決勝で敗れ、4強入りを逃した。今大会は水谷隼の持つ同部最年少優勝記録の更新を期待されていた。一般の部男子シングルスでは3回戦進出を決め、5月からドイツで開催される世界選手権代表選出へ、望みをつないだ。

 張本は立ち上がれなかった。ジュニアの部準々決勝、最終第5ゲーム。「焦って最後はフォームが崩れ、ミスが増えた」と正確なレシーブができない。空振りをするなどミスから逆転を許し、最後はリターンがネットを越えなかった。この日は午前10時過ぎから4試合をこなし、最後の試合は午後7時を越えた。9時間以上の長丁場に「疲れはなかった」と話すが、「今まで逆転してきたけど、この舞台で出せなかったのが一番ダメ」と精神的な強さを見せられなかった。

 経験を積んだはずだった。昨年12月28日から1月5日まで父・宇(ゆ)コーチ(46)の故郷中国・四川省で強化合宿。正月以外は1日5時間の練習を行った。中国スーパーリーグの選手とも対戦。張本は「球も速くて重くてとれなかった。でもその経験が全日本に生きると思う」と全日本選手権へ万全を期していた。

 記録も消えた。昨年6月の荻村杯21歳以下、昨年12月の世界ジュニア選手権の男子シングルスで史上最年少優勝。今大会のジュニアの部でも「水谷超え」となる最年少記録更新を期待されていたが、「まさか準々決勝で負けるとは」とうなだれた。

 今後は一般の部での上位進出を目指す。全日本男子の倉嶋監督は高く評価しており、結果を残せば世界選手権代表選出が近づく。前日17日には「一般シングルで優勝すれば代表に選ばれるので、絶対に優勝して世界選手権の座をとりたい」と色気を見せていた。「1戦1戦頑張っていきたい」と敗戦のショックを振り切り、代表の座をつかむ。【島根純】

 ◆張本智和(はりもと・ともかず)2003年(平15)6月24日、仙台市生まれ。2歳から仙台ジュニアクラブで競技を始め、昨春からエリートアカデミー入校。全日本選手権では小1から世代別6連覇。小3時に東アジアホープス大会(12歳以下)で8強。昨年12月の世界ジュニア選手権で男子シングルスと男子団体の2冠。家族は元選手でコーチの父宇さん、95年世界選手権・中国代表の母凌さん、妹美和さん(小2)。14年春に国籍を変更し、張姓から張本姓へ。170センチ、56・5キロ。

 ◆世界選手権シングルスの最年少代表 男子では丹羽孝希の09年横浜大会14歳200日。張本が今年の世界選手権(ドイツ・デュッセルドルフ)初日の5月29日で、13歳337日となり、代表となれば最年少記録を更新する。女子では15年蘇州大会の伊藤美誠の14歳187日で、03年パリ大会の福原愛の14歳199日を下回り、最年少となっている。