ボルダリングで日本人初の世界王者になった楢崎智亜(ともあ、20=TEAM au)が19日、世界を制したスゴ技を披露した。

 楢崎はこの日、東京・世田谷区の二子玉川ライズで始まったボルダリングの体験イベント「au CLIMBING FES」のキックオフイベントに登場。昨年9月の世界選手権決勝(パリ)で6人中2人しか成功できなかった課題を再現した「世界一の壁」をクリアしてみせた。

 身長170センチと決して大きくはないが、器械体操で培った空中感覚と抜群の跳躍力で、海外では「ニンジャ」の異名を持つ楢崎。この日も真横に1メートルも跳んで課題をクリアし、会場のため息を誘った。イベントに出席した元K-1世界王者の魔裟斗(37)も挑戦したが「これは無理」。楢崎のクリアに「体幹がすばらしい」と絶賛。モデルの朝比奈彩(23)は、驚愕したのか「人間離れしている」を連発していた。

 楢崎は「同じ課題に2度挑戦することはないので、楽しかった」。多くの報道陣とファンの前で「世界一の技」を見せ「ここで体験して、少しでもボルダリングを知ってもらえれば」と話した。

 楢崎はイベントに引き続いて一般のファンに攻略法をレクチャーしたが、そこで飛び入り挑戦したのが弟の明智(めいち、17)。栃木県内の高校2年生は、186センチの長身と長い手足を生かして「跳ぶ」ことなく楽々と「世界一の壁」をクリア。すでにリード種目の日本代表になっている新星は「兄が世界一になって刺激になった」と話した。

 楢崎が「今年はボルダリングに加えてリードも頑張りたい。スピードの練習にも取り組みたい」と3種目総合で争う東京五輪に向けて話せば、明智も「東京五輪に出たい」と言った。

 兄弟の次の目標は、28日開幕のボルダリング・ジャパンカップ(東京・代々木第2体育館)。楢崎は「世界一になっても、まだ日本一にはなっていない。(ライバルが多くて)厳しいけれど、今回は勝ちたい」と話していた。