ラグビー日本選手権が今日21日、大阪・花園ラグビー場で開幕する。トップリーグで2年ぶりに準優勝のヤマハ発動機は、準決勝でリーグ3位のパナソニックと対戦する。今季ベスト15に選ばれたトンガ代表CTBヴィリアミ・タヒトゥア(25)にとっては、「恩返し」を懸けた戦いになる。

 今季加入のタヒトゥアは、パナソニックと初めて戦う。開幕戦(24-21)の相手だったが、ベンチ外でチームの戦況を見つめていた。その後、CTBのレギュラーを勝ち取り、12試合で916分間出場。リーグのベスト15にも輝いて、今回は文句なしの先発起用だ。「コーチ陣からも『1対1でぶつかっていけ』と言われている。自分が相手を引きつけて、マレ・サウを生かすプレーをしたい」。

 持ち味は驚異の突破力だ。今季ディフェンス突破95回でリーグ1位。2位石橋拓也(NTTコム)は76回で、19回もの差をつけた。今やチームに欠かせない存在になったが、加入のきっかけは、15年10月のニュージーランド合宿だった。当時、ヤマハ発動機の選手が不足していたことで、現地で練習相手になる選手を集めた。タヒトゥアは、トンガ代表のシアレ・ピウタウ主将(30)に紹介されて、2週間限定で参加した。

 同代表としてW杯イングランド大会に出場後、所属チームが決まっていなかったが、清宮克幸監督(49)に実力を認められ、練習生で来日。加入に至った。指揮官もタヒトゥアを「予想外でまさに拾い物」と評し、「今や彼の突破を止めようと相手チームはラインアウトの人数も減らしてるくらいだからね」と頼りにしている。

 悲願のリーグ初制覇は逃したが、狙いは2季ぶりの日本一。ピウタウと清宮監督に感謝するタヒトゥアは「自分を生かしてくれるチームに誘ってくれて、感謝しきれない。チームのために全力を尽くす」と固く恩返しを誓った。【大野祥一】

 ◆ヴィリアミ・タヒトゥア 1991年10月2日、ニュージーランド・オークランド生まれ。エッジウォーター高出身。6歳から13人制のリーグラグビーを始め、17歳から15人制ラグビーを始める。13-14シーズンはNPCノースランドでプレー。15年W杯イングランド大会にトンガ代表で出場。好きな日本食は鍋料理。183センチ、102キロ。