龍崎東寅(とんいん、18=東京・JOCエリートアカデミー)がシード勢を撃破し、自身初のベスト8に進出した。5回戦で昨年準V、第2シードの張一博(31=東京アート)を4-1で破ると、6回戦でも海外リーグでプレーする松平賢二(27=協和発酵キリン)を1-3からフルセットの末に逆転勝ち。アカデミー生として最後の全日本で、目標のメダルまであと1勝に迫った。

 6回戦の第7ゲーム、龍崎はポイントを奪うたびに雄たけびを上げた。後がないゲームカウント1-3から、「後半から相手に対応できるようになった。最後は気持ちでした」と得意の右フォアで活路を開いた。最終ゲームも4-0から5-7と逆転されるも、「サーブレシーブに注意した。競った試合では大切になる」とここから5連続得点でマッチポイント。最後は松平のレシーブがアウトになり、両腕を突き上げた。

 5回戦では13歳上の第2シードに完勝した。まだ中3だった3年前は4回戦で1-4と力負けしたベテラン張との再戦で、成長した姿を見せつけた。6年連続の出場で4回戦の壁を初めて突破し、シード3人を撃破。ノーシードからの8強進出は吉村和弘(20=愛知工大)と2人だけで、「全日本ではいい思い出がなかったので、すごくうれしい」と白い歯を見せた。

 新潟県新発田で育ち、五十公野小を卒業すると親元を離れ、エリートアカデミーの門をたたいた。将来の五輪候補を育成するため、日本オリンピック委員会が設立した「虎の穴」の4期生。「スーパー中学生」で話題の張本智和(13)とダブルスを組んだ昨年12月の世界ジュニア選手権(南アフリカ)では、強豪の中国勢らを退けて準優勝した。「ここで満足してはダメなので、行けるところまで行きたい」とビッグタイトルに色気を見せた。【中島正好】