今季W杯個人総合2位につける伊藤有希(22=土屋ホーム)が、初の連勝を飾った。1回目に100メートルの大ジャンプで首位に立ち、2回目は94・5メートル。合計227点で2位高梨沙羅(20)に0・8点の差で、前日20日続いて優勝。14日の札幌大会での初優勝から波に乗って、日本開催の4戦で3勝。高梨との2枚看板で18年平昌五輪での同時メダルが視野に入った。

 伊藤が、両手を広げて蔵王の夜空を飛行した。手のひらを下に向けるフォームはレジェンド葛西譲り。2回目のジャンプを94・5メートルでまとめて、高梨の追い上げをわずか0・8点差で振り切った。「蔵王は幸運な場所。連勝できてすごくうれしい」と喜んだ。

 「万年2位」だった22歳が、14日の札幌大会初Vから8日間で3勝の大爆発。「自信という点でこれといって持てるものはないが、今は『次にどういうジャンプができるか?』と楽しみに思えるようになった」。

 葛西と同じ土屋ホームで社会人4年目。「競技レベルの高い男子と練習したいと思って選んだ」。葛西譲りの美しい飛型とテレマークが大きな武器だ。いいジャンプを2本そろえることが苦手だったが、課題の精神面も改善中だ。札幌での初V時に、葛西も指導するヤンネ・バータイネン・コーチは「常にトップで戦えるメンタルを今は備えている」と太鼓判を押している。

 今季W杯10戦で高梨とのダブル表彰台は5度目。しかもそのうち4度はワンツーフィニッシュだ。日本女子代表の小川コーチは「2枚看板になって日本としてすごく大きい」。18年平昌五輪でのダブルメダルも視野に入った。【益田一弘】