リオデジャネイロ五輪の男子シングルス銅メダルの水谷隼(27)は4連覇し、男女通じて史上最多の9度目の頂点に立った。

 史上最多9度目の優勝を果たした水谷がしみじみと言った。「長い道のりでした」。初優勝は07年。12、13年は王座から陥落し、水谷時代は終わったと言われた。だが、ロシアリーグに挑戦するなど試行錯誤し、14年に再び頂点に立った。リオ五輪では団体、個人で初のメダルを獲得し、求めていた結果をようやく残した。今までにない注目を浴び「重圧に負けそうになった」。その中で優勝の喜びはひとしおだった。

 「卓球をもっとメジャーにしたい」という思いから、五輪後はテレビや雑誌など約50の取材を積極的に受けた。結果、体重は4~5キロ増の68キロ。「あれだけ(メディアに)出て負けると本末転倒。それでも強さを見せつける。それが僕の使命」。12月からは全日本選手権に向け、毎日、体幹トレーニングとランニングで体を作り直した。「この1カ月は五輪前より追い込んだ」。必死だった。

 卓球がもっと盛り上がり、日本が強くなるために「早く僕から優勝を奪って」と若手をあおった。その上で他の選手とは「圧倒的な差がある。僕が一番修羅場をくぐり、世界のトップと戦ってきた」と誇った。まだ、水谷時代を終わらせるつもりはない。【高場泉穂】