スポーツクライミングの女王、野口啓代(27=TEAM au)が、同郷の稀勢の里から刺激を受けた。野口は23日、都内で行われたスポーツクライミングの今季開幕戦、ボルダリング・ジャパンカップの出場選手会見に出席。稀勢の里が自身が生まれ育った茨城・龍ケ崎市に縁があると聞いて「励みになる。流れに乗って、私も頑張りたい」と笑顔を見せた。

 20年東京五輪の追加種目に決まったスポーツクライミングは、ボルダリングなど3種目の総合得点で争われる。ボルダリングは日本の得意種目で、野口は過去4回もW杯総合優勝を果たしている世界のトップクライマー。日本一を決めるジャパンカップでは過去11大会中10回優勝と圧倒的な強さを誇る。「若い選手も伸びてきて、私もベテランになった。でも、意地を見せます」と話す。

 31歳で迎える3年後の東京五輪に向けて「もちろん出たいし、そのために準備をしたい」と意欲的。「リードも積極的に出たい。スピードもやりたい」と話した。験担ぎは「大会前に必ずする赤いネイルとスイーツ断ち」。五輪金メダルを目指し、女王は11回目の「日本一」でシーズンをスタートさせる。【荻島弘一】

 ◆ボルダリング 20年東京五輪追加種目に決まったスポーツクライミングの1種目。ロープを使わず、ホールドと呼ばれる突起物のある5メートルの壁を登れた数を競う。日本勢が上位を独占する得意種目。リードはホールドが設けられた十数メートルの人工壁をどこまで登れたかを競うもので、日本人でも得意とする選手は多い。スピードはホールドの位置やルートが常に同じな15メートルの壁を登る速さを競う。日本には施設が少なく、競技レベルも発展途上。世界選手権やW杯は個々の種目があるが、東京五輪は3種目総合で順位を決める見通し。