リオデジャネイロ五輪代表の池江璃花子(16=ルネサンス亀戸)が「新技開眼」で日本記録を樹立した。50メートル自由形決勝を、初めて息継ぎなしで泳ぎ切って24秒48で優勝。ラスト10メートルでひらめいて、一気にフィニッシュまで持ち込んだ。自身の記録を0秒19更新して、14度目の日本記録を樹立。昨夏のリオ五輪で決勝進出相当の好タイムをたたき出し、新境地を開いた。池江は100メートルバタフライも57秒55の大会新で制した。

 ぐるぐると左右の腕を回転させた。池江は、浮き上がりで早くもリード。ラスト10メートルでいつもは上がる顔が上がらない。「泳ぎの感覚が良くて(息継ぎなしで)成功するだろうなと思った」。息苦しさに耐えて突き進んだ。「周りを見る余裕もなくて」とコースロープ側によろけながらも24秒48をマーク。五輪決勝進出相当の好タイムだった。

 息継ぎなしは苦手だった。約1年前から練習していたが、息苦しさもあって前向きになれなかった。村上コーチは足にフィンをつけたり、息継ぎなしで泳ぐ海外選手の動画を見せてきた。「1、2回呼吸したら、タイムも出ないから」と根気強く言って聞かせた。この日、事前の相談なしで「新技開眼」した池江について「ようやく達成できた。教える側としてはうれしい」とにっこりと笑った。

 14度目の日本記録更新。16歳は「レースに出るごとに日本記録を出す、という強い気持ち。国内だけじゃなくて、海外でも結果を出していきたい」と言う。息継ぎなしについても「今日は次の種目にダメージがあったと思うけど、慣れもあるので、どんどんチャレンジしていきたい」。16歳にはまだまだ強くなる要素がいっぱいだ。【益田一弘】