スーパーラグビー(SR)参戦2年目を迎える日本チーム、サンウルブズがトップリーグ選抜に24-12で勝利した。序盤はリードを許す展開も、前半のうちに2トライを奪い逆転。後半35分に途中出場のSH田中史朗(32)のトライで突き放し、シーズン前唯一の実戦を勝利で飾った。19年W杯に向けた日本代表強化を掲げ、今季は戦力も大幅に充実。25日の開幕戦(東京・秩父宮)で昨季の王者ハリケーンズと対戦する。

 試合の行方が決定的となった終了間際、自陣深くでペナルティーを取られた場面で、田中がチームメートに声を張り上げた。「しゃべっていないで、まず下がれ!」。勝利にも、世界の強豪が集うSRで4シーズンを戦ってきたベテランは、さらに高いレベルの判断を求めた。「あそこがハリケーンズならプロップ1人に突っ込まれて、トライされていた。世界と比べれば、まだまだ意識も対応力も低い」。試合後は、あえて厳しい言葉を並べ成長を促した。

 ミスが多く課題が残った一方、手応えもつかんだ。前半にWTB中鶴が相手2人をかわして初トライを演出するなど、新加入選手が存在をアピール。後半には1勝1分け13敗に終わった昨季苦しんだスクラムで流れをつかむなど、好材料は少なくない。プロップ三上は「後半のスクラムを組めれば、やれる手応えある」。フッカー堀江も「去年のこの時期と比べればレベルは上がっている」とうなずいた。

 今後は都内で合宿を続け開幕戦に向けた準備を進めていく。19年の国内開催のW杯へ、代表選手がそろうサンウルブズの存在意味は大きい。ティアティアHCは「基本的な部分は仕上がっている。スクラム、ラインアウトの細かな部分を修正していく」。オオカミ軍団が再び世界を驚かせるための戦いに挑む【奥山将志】

 ◆トップリーグ選抜を率いた日本代表のジョセフHCは、サンウルブズの戦いぶりに満足感を示した。「セットプレーで圧力をかけたが、最終的にはサンウルブズが上回っていた。後半の中盤に立川と田中が入ってチームが落ち着いた」と総括した。日本代表選考という視点については「これから(シーズン)全体を見て見極めていきたい」と具体的な選手名は挙げなかった。