18年平昌冬季パラリンピックへの第1歩を踏んだ。リオデジャネイロ・パラリンピックの陸上男子走り幅跳びで銀メダルを獲得した山本篤(34=スズキ浜松AC)が、初挑戦のスノボードクロスで初優勝を飾った。

 決勝の相手は強化指定選手の小栗大地(36)。18日の予選では全長420メートルのコースで約18秒も差があった。スタート直後、小栗が傾斜の旗門にボードを引っかけてまさかの転倒。山本も1回転倒したが冷静に抜き去ってフィニッシュした。「ヨッシャー!!」。両手でガッツポーズして喜びを表現した。

 「アドレナリンが出まくった。『持ってるな』と思いました。ただ、今日はラッキーなだけで、滑りは合格点ギリギリの60点ですね」。転倒ミスが続いた前日の予選は「10点くらい」と自己採点してたが、この日は結果が出たということで及第点を与えた。

 下馬評では経験値の差からも山本の負けを予想する声が大半だった。山本を発奮させたのがNHKだった。18日夜、自身のSNSでNHKの予選を報じる動画を確認した。スノーボードクロスに初挑戦する姿に転倒しても「頑張れー」という内容だったという。

 「転倒して頑張れではない。『パラスポーツ=頑張れ』ではなく、もっと競技を報道するのがスポーツだと思う。話題性とかではなく、昨日の予選であれば小栗さんを全面に出すべき。『NHKクソ野郎!!』と思って滑ったのが良かったのかも」。

 NHK記者がいる中でも、山本は容赦なく強い口調で言った。ただ一方で、「NHKが一番報道してくれるのはありがたい」と感謝も伝えた。

 今大会の結果を受け、山本が日本代表に選出されれば、平昌大会への道も開かれる。