男子の「4回転時代」の進化が止まらない。この日はISUの公認試合で初めて、トップ3人がフリーで4回転ジャンプ4本以上を着氷した。ネーサン・チェンの技の難しさを示す基礎点の106・48点は歴代最高。ハイレベルの優勝争いが繰り広げられ、もう1ランク上の次元に突入したことを象徴する大会となった。

 ここ2シーズン、男子の4回転は著しくレベルアップした。14年ソチ五輪時、金メダルの羽生結弦が導入したのはSP1本、フリー2本の計3本。だが昨季、SPで4回転2本、フリーで4回転3本を組み込み、NHK杯で史上初の300点超え。SP2本、フリー3本が当然の時代に入った。

 さらに16年4月に宇野昌磨が4回転フリップ、同10月には羽生が4回転ループを史上初めて成功。4種類のジャンプを跳べるチェンがシニアデビューし、さらに競争が加速。3年前より種類も本数も倍を跳ばないと上位争いはできなくなった。

 ただ、高難度の4回転が増えることで、ノーミスで演技を終えることは難しくなった。芸術性と合わせて競うフィギュアの良さが薄れるという意見もある。あるジャッジは「まだまだこのスポーツが進化しているということ。そこが1つの魅力」と進化を歓迎する。

 来年の平昌五輪では何種類、何本が必要なのか。羽生は「何本跳ぶか想像がつかない」とした上で「5本の構成も出来るかも」と意欲をみせた。宇野は「種類を増やすより安定して跳べる選手がトップにいく」と持論を展開しながらも、練習では自身4種類目のサルコーが好調だけに「跳べるジャンプを入れないつもりはない」と新技挑戦をにおわせた。現在、計7本を跳ぶチェンは「今は分からない。自分の体と相談して」と話すにとどめた。