女子1000メートルで、小平奈緒(30=相沢病院)が1分15秒19の大会新記録で金メダルを獲得した。スピードスケート勢では金メダル第1号。0秒12差で2位の高木美帆(22)とともに、ソチ五輪金メダリストで3位の張虹(中国)を上回って、日本勢ワンツーフィニッシュを飾った。

 気温がマイナス10度を下回った帯広に、熱気をもたらした。女子1000メートル。小平が表彰台のてっぺんで君が代を聴く。10日前、来年平昌五輪開催地で行われた世界距離別選手権女子500メートルに続く君が代。「何度聴いても五輪のシミュレーションになる。明日も聴きたい」と、今日21日の今季負けなしの500メートルに目を向けた。

 前組で高木美が大会新記録の1分15秒31の好タイムで首位に立った。小平は「盛り上げるには絶好のチャンス」と闘志を高める。600メートルで高木美より0秒97速いラップタイムを刻む。最後も力を振り絞り、高木美を0秒12差で振り切る。ソチ五輪金で3位の張には0秒56も上回った。

 国内開催のアジア大会。五輪金メダル候補としての使命感があった。「子供たちが、たくさん見に来ている。少しでも良い思い出を与え、将来のビジョンを持ってほしい」。98年長野五輪。当時は小学5年だった小平は男子500メートル金の清水宏保、女子500メートル銅の岡崎朋美の滑りを心に刻み、五輪への夢を育んだ。子供たちに印象づけるレースができたことも、うれしかった。

 今日21日は今季無敵の500メートル。来年の平昌五輪も今大会同様、1000メートルの次に500メートルがある。1000メートルで勢いをつけ、大本命の500メートルへ。「このリンクの氷は500メートルに向いている。どんな滑りができるか楽しみ」。プレ五輪と想定する今月の世界距離別とアジア大会。1年前のシミュレーションは完璧に締めくくる。【田口潤】