尊敬する北島康介氏に「ホンモノ」を見せる。競泳男子200メートル平泳ぎの世界記録保持者、渡辺一平(19=早大)が26日、7月の世界選手権(ハンガリー)で世界記録更新を誓った。

 早大のメキシコ合宿へ向けて、成田空港で取材に応じた渡辺は「世界選手権はリオ五輪と同じ気持ちで臨む。マークされてプレッシャーがある中で結果を出すことが北島さんも期待していると思う。自分の泳ぎをして世界新記録で優勝したい」と力を込めた。

 リオデジャネイロ五輪は準決勝で2分7秒22の五輪新記録で決勝に進出したが、決勝では2分7秒87の6位に終わった。その後、下半身の筋肉を鍛え、スタートダッシュと壁を蹴る力を上げて、先月末の東京都選手権で2分6秒67の世界新記録で優勝した。

 北島氏を「憧れの人」として、過去の五輪映像を何度も見た。水の抵抗が少ない真っすぐ水中姿勢(ストリームライン)を理想としながら練習に取り組んできた。北島氏が03年世界選手権(スペイン)で世界記録(当時)を樹立したことからも同大会への思いも強い。

 メキシコ合宿では世界選手権の選考会を兼ねた4月の日本選手権に向けて、標高2300メートルの高地で約3週間のトレーニングを行う。テーマを「スピード強化と適応能力の向上」とし、体に巻いて泳ぐためのチューブや体重計などをキャリーバッグに入れた。身長193センチ、体重78キロの細身だが、回転ずし48皿、夕飯のご飯を4合食べるなど「大食い」としても有名。太りにくい体質であることが悩みで、目標体重を80キロ台としている。「高地トレーニングでは食べられなくなりやせてしまう。現地でも白米を炊いて、焼き肉のタレなどをかけたりして体重を減らさないようにしたい」。

 リオ五輪男子200メートルバタフライ銀メダルの坂井聖人(21)と渡部香生子(20)も同便で出発した。【峯岸佑樹】