女子の小平奈緒(相沢病院)が500メートルで36秒80の1位、1000メートルで1分13秒17の3位となり、両種目ともトップだった25日の結果と合わせ、日本女子初となる総合優勝を飾った。

 小平は尽きない探求心で、滑りの向上だけに取り組んできた。目先の結果にとらわれない姿勢を貫き続け、30歳にしてキャリアの絶頂を迎えた。

 信州大時代から指導する結城匡啓コーチの第一印象は「乾いているな」だった。理論家で知られる同コーチの教えを、みるみる吸収したという。当時小平が定期的に提出したリポートには人体の解剖図が描かれ「ここの筋肉が使いたい」などと具体的に書かれていたという。

 速くなるためには競技の枠も超えた。上半身の使い方を学ぼうとレスリング女子の吉田沙保里と組み合って練習し、効果的な体幹の動きを知るために競輪場で自転車をこぐなど取り組みは数知れない。昨季までは2シーズン、本場オランダで単身武者修行。一時は不振に陥ったが、くじけずに今季の躍進につなげた。「ちょっと遠回りだったけれど、自分にとってはぴったりきている」としみじみ語る。

 どんなに勝利を重ねても、好タイムで滑っても、満足する様子はほとんど見せない。来年の平昌冬季五輪が、限りない情熱の総決算の場となる。