王者テディ・リネール(フランス)に勝て!! 柔道男子日本代表の井上康生監督(38)が28日、100キロ超級の選手に「打倒リネール」の意識を植え付けた。

 グランプリ・デュッセルドルフ大会(24~26日、ドイツ)など欧州国際大会から3週間ぶりに成田空港に帰国した井上監督は、100キロ超級の選手が活躍したことに言及した。「重量級の層が厚くなることは良いこと。ただ、最大の目標は重量級の世界のトップで、4人には『常にリネールを意識してやれ』と伝えました」。

 4人とはグランプリ・デュッセルドルフ大会で優勝した影浦心(21)、準優勝のリオデジャネイロ五輪銀メダルの原沢久喜(24)、グランドスラム(GS)パリ大会優勝の王子谷剛志(24)、準優勝の七戸龍(28)のこと。リオ五輪同階級王者のリネールは、五輪決勝で原沢との“組まない柔道”が物議を醸し、ルール改正の理由の1つになったとされる。今回の欧州国際大会には欠場したため、原沢との再戦はかなわなかった。4人はリネールが出場する可能性がある8月の世界選手権(ブダペスト)に向けて、4月の全日本選抜体重別選手権と全日本選手権で代表の座を争う。

 今回の欧州国際大会では有効廃止や指導3つで反則負け、試合時間が4分に短縮などの新ルールが適用された。井上監督は「そう大きな変わりはない。『試合時間4分が短い』『指導が遅い』などと言って戦っている選手は戦っていけない。ルールにどう対応するかを考え、技を持っている選手が強い。今後は、階級ごとに、2、3人が世界チャンピオンを狙えるぐらいの層の厚さにするための、油断できない環境づくりをしていきたい」と話した。

 また、GSパリ大会男子66キロ級で優勝した阿部一二三(19)については「技術力は多用で勝負師。格闘技に必要などう猛さをもっている」と評価した上で「ただ、勝負はここから。周りから研究されて、勝たないといけない使命がある中で力を発揮できるかですね」と、今後のさらなる活躍に期待を寄せた。