折茂さん、引退禁止です-。男子プロバスケットボール・Bリーグのレバンガ北海道・横田陽CEO(40)が、ベテラン折茂武彦選手兼社長(46)への来季オファーを示唆した。引退を希望した場合は全力で慰留するつもりだ。また引退を決断したシーズンは、元プロ野球日本ハムの新庄剛志氏(45)と同様にシーズン前半までに発表することを希望。すでに後半戦に入った今季は、引退できません!?

 折茂の今季得点は、2月26日の横浜戦までの41試合で、チーム日本人最高の393点。昨年11月のリーグ通算9000点到達から早くも216点を上積みし、来季中の1万点達成も見えてきた。中でも6・25メートル以上離れた位置から放つ3点シュートの成功率は48・1%にも達する。「やめてもらう理由が全く見あたらない」と横田CEOは、来季の現役続行を後押しする。

 引退できない事情もある。Bリーグには約2億円に及ぶ債務超過解消計画を提出済み。18年6月までに計画通り解消できなければ、B1クラブライセンスが剥奪される。レバンガ北海道持ち株会は現在、来季の強化を目的にファンから出資を募っており、集まった資金で増資を実行する予定。資金集めには魅力的なチームであることが必要であり、社長としては抜群の得点力を維持する“選手・折茂”を手放せない。

 折茂は常々「現役を続けるかどうかはシーズン終了後に考える」として、来季のプレー続行の明言を避けてきた。しかし「本人も今季でやめることは考えていないはず。やめるなら遅くともシーズンの半分までに意思表明をして『(折茂を見るのが)最後だから』というファンをアリーナに集めてからにしてほしい」と横田CEO。チームの経営トップは、かつてシーズン前半で引退を宣言、札幌ドームを満員にした新庄氏的な身の引き方を思い描き、万が一「引退」を口にした場合は、全力で慰留する構えだ。

 今季はすでに後半戦に突入し、CEOが期待する“新庄流引退”の申告期限は過ぎた。Bリーグの大河正明チェアマン(58)も「(J2横浜FCで50歳現役の)カズもすごいが、折茂は世界と対等に戦える技術を持つという意味で(ジャンプの)葛西に近い。まだまだやれる」と現役続行を後押しする。折茂の華麗なプレーが、来季も見られそうだ。【中島洋尚】

 ◆折茂の3点シュート 過去リーグ戦通算2501度投げ、968度成功。残り32本で1000度成功に到達する。3点シュートが2点シュートの成功率を上回った年度は、96~97、98~99、05~06、06~07の4度。今季も2点シュート43・3%に対して3点シュートが48・1%の成功率を誇る。また2月5日の渋谷戦では第4Q残り23秒で3点シュートを決めて延長に持ち込むなど、試合を左右する場面での成功も目立つ。今季の3点シュート決定率の高さについて聞かれた折茂は「だって、入っちゃうんだもん」とおどけるように話した。