64年東京五輪柔道男子軽量級(68キロ以下)金メダルの中谷雄英氏(たけひで、75)が15日、広島市内で取材に応じ、4月29日の全日本選手権(東京・日本武道館)に出場するリオデジャネイロ五輪73キロ級金メダルの大野将平(25=旭化成)にエールを送った。

 “広島の姿三四郎”の異名を取る中谷氏は「今どき珍しい真の柔道家だね。最近の全日本選手権の大半は重量級ばかり。彼の技なら通用するだろうし、重量級選手もやりづらいと思う。注目の試合でもあり、彼もある程度の自信があることは間違いない。僕のベスト8は超えてほしいね」と活躍を期待した。

 大野は体重無差別で争う全日本選手権の出場は3年ぶり。前回は3回戦で敗れ、今月9日の公開稽古では「五輪や世界選手権と同等かそれ以上の価値がある大会。どこまで通用するか試したい」と決意表明。無差別級に憧れがあり「73キロ級という小さな枠組みにとらわれたくない」としていた。今夏の世界選手権代表選考会を兼ねた4月1、2日の全日本選抜体重別選手権は、在籍する天理大大学院の修士論文に集中するため欠場する。

 中谷氏は広島市出身。東京五輪で正式競技に採用された柔道の金メダリスト第1号となった。その後も西ドイツのコーチや国際審判員、全日本柔道連盟理事などを務めた。12年には9段に昇段し、国内で数少ない赤帯が許された。