波乗りジャパンが、20年東京五輪に向けて本格的に動きだした。日本サーフィン連盟(NSA)の強化指定選手合宿が18日、千葉・鴨川市でスタート。昨年8月に五輪実施が正式決定して以来初の合宿には、海外に拠点を置く選手も含めて男女60人が参加した。ビデオを使った技術チェックなどを行い、最終日にはドーピング対策やSNSの使い方などの勉強会も実施。連盟や選手が、五輪競技としての第1歩を踏み出す。

 ビデオを見つめる選手の真剣な目が「本気度」を表していた。朝8時から試合形式で行われた合宿初日の練習。1ヒートごとに選手たちはテントで技術チェックを受ける。さらに、全選手がビデオを再チェックして意識を共有。この日のために招請された世界的な名コーチ、シャープ氏(南アフリカ)が五輪を目指しての「世界基準」を説いた。

 女子の第一人者、大村奈央(24)は「こんな大きな合宿は初めて。日本のチームで戦うんだという気持ちが強くなった」と話した。オーストラリアの大会から戻ったばかりだが、持ち前の豪快な技を連発し「(東京五輪への)スタートという感じ」と目を輝かせた。

 ジュニア強化合宿は実施してきた日本連盟だが、トップ選手が集まる合宿は初めて。「トップは海外転戦がほとんどで、集まるのは難しかった」と同連盟の酒井理事長。井本副理事長は「まだ寒い時期だったけれど、日程を見て集まれるのはここだけだった」と話した。今回は日本プロサーフィン連盟(JPSA)とWSLジャパンも強化指定選手選考から協力。初の3団体合同での合宿は、サーフィン界の本気の表れだ。

 「東京五輪代表候補」を集めたのは競技力はもちろん、人間力も向上させるため。心構えやドーピングの知識などアスリートとしての「常識」も徹底される。「五輪に向けて選手の意識を変え、サーフィンのイメージを変えたい」と酒井理事長。大村も「こういう雰囲気も初めて。夢でしかなかった五輪に出て、メダルを取りたい。多くの人にサーフィンというスポーツを知ってほしい」と目を輝かせていた。【荻島弘一】

 ◆サーフィン競技 体操やフィギュアスケートと同じ採点競技で、波に乗って繰り出した技の難易度、出来栄えなどを争う。五輪種目はショートボード(2・74メートル未満)。複数の審判が10点満点で点数をつけ、平均が点数になる。技の完成度や独創性、革新性も採点の対象になる。1度に4、5人がグループになって競うのが通例だが、東京五輪は出場が男女各20人ということ以外にルールや試合方法などの詳細は決まっていない。