葛西紀明(土屋ホーム)が合計448・0点で2位に入り、自身が持つW杯の最年長表彰台記録を44歳9カ月13日に更新した。表彰台は昨年3月に3位となって以来で約1年ぶり、今季初だった。葛西は1回目に239・5メートルを飛んで5位につけ、2回目は自己最高の241・5メートルで順位を上げた。カミル・ストッホ(ポーランド)が今季7勝目、通算22勝目を挙げた。12位の伊東大貴(雪印メグミルク)は1回目に日本最長記録の243メートルを飛んだ。

 葛西が2回目を飛ぶ直前、スタート位置が1つ下げられた。「不安な気持ちが出てきた」と飛び出しは低かったが、落ちずにぐんぐん伸びた。自己最高を1メートル更新する241・5メートル。「中盤からすごい風が来てどんどん地面から離れていった。あんな感覚は初めて」という大ジャンプだった。

 今季は不調に苦しんだ。W杯はここまで10位が最高。「このジャンプでいいのかなという不安は本当にあった」と打ち明ける。飛べない原因を道具やスーツのせいにしたこともあった。それでも、ベテランらしくきっちりと調子を合わせ、限界説を一蹴した。

 個人総合首位のクラフト(オーストリア)らを上回っての2位で自身の表彰台記録を塗り替えた。「まさか表彰台に立てるとは。急に自信が湧いてきた」。大ベテランはガッツポーズを繰り返して喜びを爆発させた。