フィギュアスケート女子10年バンクーバー五輪銀メダリストの浅田真央(26=中京大)が現役引退を表明し、一夜明けた11日、浅田を指導する佐藤信夫コーチ(75)らが新横浜スケートセンターで取材に応じ、浅田との思い出を語った。

 浅田は、10日午前10時頃にスケート場に訪れ、直接引退を報告したという。佐藤コーチは「終わりにします、と報告を受け、お疲れさまと伝えました。よくここまで頑張ったな、という感じです」と穏やかな表情で話した。

 バンクーバー五輪後の10年秋から、浅田を教え始めた。指導歴40年を超え、選手、指導者として合わせて10度の五輪を経験している名伯楽にとっても、スターである浅田を教えることは「難しかった」とあらためて振り返った。さらにソチ五輪後、1年の休養を経て復帰したここ2シーズンは、浅田が左膝など故障を抱えていたこともあり、「だましだましでやっていた」とも明かした。もっと師弟関係を続けたかったのでは、との質問には「そういう気持ちがあるような、ないような。心のどこかで、今の状態で昔のように戻すのは厳しい、と思っていた」と話した。

 妻の久美子コーチ(71)も「さみしくなるが、いつかはこういうことがあるので仕方ない。私たちにとって(浅田が)側にいてくれたことは幸せなことだった」と振り返った。