20年東京五輪で実施されるスポーツクライミングはリード、ボルダリング、スピードの3種目で構成される。中でも日本人選手のウイークポイントはスピード。スピードとはどんな種目で、メダル獲得のためにどう強化すればいいのか? 16日に東京・昭島でスピード専用ウォール(壁)が稼働する。3回連載「スピードって知ってる?」で、現状を紹介します。

 スピードのルールは3種目の中で最も単純明快だ。高さ15メートルの専用レーンを2人が同時にスタート。対戦形式で、登るスピード(速さ)を競う。手数(ホールドの数)は31。ホールドはどの大会、どの会場も公式レーンは同じ配置で統一されている。予選は左右のレーンを1回ずつ登り、タイム順に上位16選手が決勝トーナメント(T)へ進む。男子の世界記録は5秒60。女子は7秒53。

 ボルダリング、リードは制限時間中に初見のコースを登るのに対し、スピードは同じルートで行われるため反復練習ができる。対戦形式のため、相手との駆け引きもある。

 ボルダリングとリードは欧州、北米、日本が得意とし、スピードはロシア、東欧、中国などに強豪選手がそろう。例えばフランス、イタリア、オーストリアはアルプス山脈、米国はヨセミテ国立公園、日本は飛騨山脈などの環境に恵まれるため、山岳に似るボルダリング、リードが盛んになったと考えられている。

 戦略と体の操作性を駆使するボルダリング、リードに対し、反復とフィジカルを追求するスピード。この違いが、日本選手の「壁」になっている。【井上真】