トリプルアクセルを継ぐ。フィギュアスケートの世界国別対抗戦が、今日20日に開幕する。19日は公式練習と日本代表の記者会見が行われた。女子の樋口新葉(16=東京・日本橋女学館高)は練習で3回転半ジャンプに初成功。今大会は使わないが、五輪シーズンとなる来季のフリーに組み込む方針だ。現役引退した浅田真央さん(26)の代名詞を、日本女子として再び五輪の舞台で披露する構えだ。

 樋口が、初めての体験を落ち着いて振り返った。「トリプルアクセルをおりたのは初めて。ふわっと浮いて回った感じ。考えすぎずに跳べたかなと思います」。女子は7人しか成功例がない最高難度のジャンプ。その足がかりをつかんだ。

 「何でもっと簡単に跳ばせてくれないの」と浅田さんが表現した3回転半。樋口は午後の公式練習でスピードに乗った踏み切りからクリーンに成功した。岡島コーチは「あんなにきれいにおりたのは初めて。小さいころはやっていたが(今季)シニアになってからは(けがが)怖くてやってなかった」と驚いた。その後は3度続けて失敗。最後は着氷が乱れたが、5度中2度、成功した。

 3回転半は、スピードに乗って遠くに跳ぶ浅田さんのタイプと、ゆっくり高く跳ぶトゥクタミシェワ(ロシア)のタイプがある。岡島コーチによると、樋口は「スピードに乗るタイプ」。“ジェット娘”と呼ばれるほどのスピードが持ち味で浅田さんスタイルだ。

 今大会は使用しないが、来季はフリーで組み込む予定。「来年は五輪があるのでプログラムに入るようにしたい」と言う。17日まで約1週間、カナダで新プログラムを作った。日本では14歳の紀平が成功させているが、年齢制限で平昌五輪には出場できない。樋口は、浅田さんの引退について「もう試合の演技が見られなくて寂しいという気持ちでいっぱい。みんなからの憧れで、自分も目指している選手だったので悲しいです」。伊藤みどり、浅田真央とトリプルアクセルで五輪を沸かせた日本女子の伝統。その系譜を受け継いで平昌五輪のリンクを沸かせる構えだ。【益田一弘】

 ◆樋口新葉(ひぐち・わかば)2001年(平13)1月2日、東京都生まれ。3歳で競技を始める。4歳で明治神宮外苑スケート場に移り、岡島功治コーチに師事。14年ジュニアGPファイナル3位。15、16年全日本選手権2位。17年世界選手権11位。名前の由来は、21世紀が始まる01年1月2日に新宿で生まれたため、「新」の1文字を入れた。特技は縄跳び。152センチ。

 ◆世界国別対抗戦 5回目となる国際スケート連盟(ISU)公認大会。世界上位6カ国が男女シングル各2人、ペア1組、アイスダンス1組の4種目8人で争う。各種目優勝者には12点、2位には11点、と与えられ、合計点で優勝国を決める。今大会の参加国は日本の他にカナダ、ロシア、米国、中国、フランス。日本は第2回の12年に初優勝、第1、3、4回は3位。