「世界の山下」が、20年東京五輪での柔道団体戦採用をアピールした。全日本柔道連盟の山下泰裕副会長(59)と講道館の上村春樹館長(66)が20日、東京都内の東京五輪・パラリンピック組織委員会を訪問。国際柔道連盟(IJF)理事として、IJFビゼール会長の親書を組織委の森喜朗会長に手渡した。

 団体戦採用は、すでにIJFが国際オリンピック委員会(IOC)に正式提案している。種目数を制定限に抑えるために、男女混合方式。男子が73キロ、90キロ、90キロ超級、女子が57キロ、70キロ、70キロ超級の計6人のチームで、トーナメント戦を争う。「世界選手権でも最も盛り上がる種目。団体戦採用は、世界の柔道界の希望です」と山下氏は熱い思いを口にした。

 IOCは東京五輪の種目数を野球・ソフトボールなどの追加種目を除いて最大310とし、リオデジャネイロ五輪の306からの見直しを進めている。柔道のほかにも、3人制バスケットボールやトライアスロンの男女混合リレー、アーチェリーの男女混合団体などが候補。5月のIOCプログラム委員会を経て、7月の同理事会で決定する。

 選手数の増加と経費の増大がネックになるが、山下氏は「個人戦に出た選手で団体を組むので、選手数は増えない」と説明。さらに「1日増えるが、入場料収入は過去の大会から試算して1億円以上。経費を差し引いても収益が出る」と経費面でも問題がないことを強調した。

 森会長は「決めるのはIOC」と話した上で「個人的には応援したい。いい方向に行っているんじゃないかな」と普段の慎重さとは違って前向きな発言。上村氏も「東京で実施されると思っている」と自信を口にした。64年東京五輪で初めて行われた柔道は、五輪を代表する競技にまで成長した。団体戦採用となれば、2度目の東京開催が五輪柔道の新たな価値を生み出すことになる。