「世界の山下」が一本取られた。国際柔道連盟(IJF)理事で全日本柔道連盟(全柔連)副会長の山下泰裕氏(59)が21日、東京都の小池百合子知事(64)に“一本負け”した。

 都内の東京都庁を訪れ、20年東京五輪の柔道男女混合団体戦採用の要望書を提出。提出後、エジプトの留学経験がある小池氏が山下氏との「共通点」として、84年ロサンゼルス五輪柔道無差別級銀メダルのモハメド・ラッシュワンさん(エジプト)を挙げた。五輪決勝で山下氏の負傷した右足を狙う試合をせずに敗れたラッシュワンさんとの試合は今でも夏季五輪の名場面とされている。

 小池氏がエジプトでラッシュワンさんと一緒になった時、足を捻挫して氷を手配するなどの応急処置をしてくれたという。それを聞いた山下氏は「彼は日本に親しみを持っていて、心が優しいナイスガイ。人を温かく吸い込むような雰囲気ですよね」と言うと、小池氏が「(山下氏と)同じじゃないですか!!」と突っ込んだ。山下氏は顔を真っ赤にさせて照れながら「ロス五輪の戦いで生まれた友情を大切にしたいです」と返し、たじたじだった。

 要望した男女混合団体戦は個人戦に出場した選手の中から男子が73、90、90キロ超級、女子が57、70、70キロ超級の階級で構成する。20年東京五輪も「武道の聖地」こと日本武道館で開催され、そこで団体戦を行う意義について山下氏は「世界の柔道関係者が待望し、画期的なことになると思う」とアピール。小池氏も「東京都はダイバーシティ(多様性)を目指しており、そういう意味では男女混合団体戦はダイバーシティの表れかなと思う」と前向きな姿勢を示した。新種目は5月の国際オリンピック委員会(IOC)プログラム委員会を経て、7月の理事会で決まる。

 最後の記念撮影では、山下氏と全柔連の中里壮也事務局長が小池氏を挟んで並んだ。大柄の2人に挟まれた小池氏は「ちょっとは細く見えると良いわ」と、終始、“小池節”をさく裂していた。