体重145キロの“巨漢”王子谷が78キロの大野を要注意人物とした。体重無差別で争い、世界選手権(8月開幕、ブダペスト)100キロ超級代表選考会を兼ねた柔道の全日本選手権(29日、日本武道館)の前日会見が28日、東京・講道館で行われ、2年連続3回目の優勝を目指す王子谷剛志(24)がリオデジャネイロ五輪73キロ級金メダルの大野将平(25=ともに旭化成)を警戒した。

 昨年11月の講道館杯から国内外の大会4連勝中の王子谷は丸刈り姿で気合を見せた。14、16年大会の覇者でもあるが「(世界選手権の)最終選考と考えずに、この大会に勝つという思いで臨みたい。連覇となるとなみなみならぬ精神力が必要。これまでの大会とは別次元です」と意気込んだ。

 そんな中、今大会で一番体格が小さい身長170センチ、78キロの大野を警戒。14年大会3回戦では判定勝ちしたが、唯一、一本勝ちを奪えなかった。「会社の先輩ですし、一番当たりたくない…。全日本選手権は小さい選手を応援するような風習があるのでそこが嫌です」と苦笑いした。体重67キロ差もある王子谷ですら、大野の両手でしっかりと組んで豪快に投げる柔道を嫌がる。

 決勝ではリオ五輪100キロ超級銀メダルの原沢久喜(24)と対戦する可能性がある。過去に何度も熱戦を繰り広げてきたライバルで「連覇が難しいのは十分理解している。今回は目の前の相手をたたきつぶすぐらいの気持ちで臨みます」。普段は穏やかな王子谷が珍しく怖い顔をした。