自然体の大野将平で挑む-。リオデジャネイロ五輪男子73キロ級金メダルの大野将平(25=旭化成)が28日、都内で取材に応じ、体重無差別で争う全日本選手権(29日、日本武道館)への思いを語った。

 大野が7カ月ぶりに実戦復帰する。この日は、穏やかな表情で「緊張よりも楽しみです。ワクワク、ドキドキの方が大きい。1回でも多く、武道館の観客を沸かすことが出来れば良いと思います」と言葉を選びながら答えた。

 体重は無差別級のため普段通りの78キロ前後で、対戦相手の研究はしていないという。今年1月から全日本選手権に向けて、けがのリスクがある中、重量級の選手らと本格的な稽古を積んできた。出場することで「柔道家としての成長にもつながるし、自分の階級に戻った時の糧にもなると思う。心技体で対抗できるところは『心』だけだと思うので、強い気持ちを持って心で勝てるようにしたい」。

 大野は前回出場した14年大会は3回戦で敗れた。無差別級の柔道に憧れ、階級にとらわれない日本選手権を「五輪や世界選手権と同等ぐらいの価値がある大会」としている。順当に進めば、3回戦で選抜体重別選手権100キロ級の覇者で、今夏の世界選手権に出場するウルフ・アロン、準々決勝で体重160キロの上川大樹と対戦する。

 「立場的に一番弱者。全日本は楽しみだけど、久々の試合でもある。そういったこともかみしめながら試合をしたい」。そこには柔道愛に満ちた大野がいた。