08年北京五輪日本代表でJTのウイングスパイカー越川優(32)がチームを2年連続4度目の優勝に導き、有終の美を飾った。大会終了後のビーチバレー転向を決めて臨んだインドア最終戦。優勝を決めると仲間に胴上げされ「本当に幸せなインドア人生。悔いはないです」と感謝の思いを口にした。

 2セットを先取するも、強敵パナソニックは簡単に勝たせてくれなかった。第3セットを失い、第4セットは一進一退の攻防を繰り返して30-32で落とす。それでも最終セットに全てをぶつけた。セッター深津旭弘主将(29)は「第4セット途中でコーチから『冷静にやっていこう』と声がかかったけれど、内心『そんなんできねえよ』ってなった。コートの中にいる連中に『気持ちしかねえだろ』って僕が言ってしまった。走って、(トスを)上げて、喜んで…」。疲れを隠せない状況で、越川も奮闘。スパイクを何度も打ち込み「頂き物を全部頂いた感じです」とMVPまで受賞した。

 ビーチバレーへの誘いがあったのは、昨季終了後。「インドアでも、まだトップレベルでできる」と自負するからこそ、転向を決断した。08年北京五輪に出場したが「あの時は出ることが目標だった」。そこからは代表落ちが続き「インドアで結果を出しても(20年東京五輪の)代表に選ばれるかは分からない」と考え、新天地を選んだ。

 ペアを組む相手やデビュー戦は未定だが、越川はあくまで「東京五輪で活躍すること」を目指す。「自信があるからこそ、新しいものにチャレンジできる」。多くのファンに愛された男は、涙を見せることもなく会場を後にした。