2016年1月に八百長疑惑が世界で広がった際に日本テニス協会幹部は「日本選手が関わったという認識はない」と受け止めていた。

 しかし三橋淳・元選手が15年に何度も八百長行為に関与したと認定され、日本も無縁ではなかったことに衝撃が広がった。

 コンプライアンス(法令順守)の徹底を強化している中での出来事に、日本協会の高橋甫IR室長は「対応している最中だったので本当に残念」と悔しがる。

 三橋元選手は鋭いサーブやストロークで将来を嘱望されたが、10代のころからトラブルメーカーとして知られ、ある関係者が「悪ガキのまま年を取っている」と指摘するほど。15年を最後に、日本協会の選手登録も更新していなかった。

 バドミントンでの賭博問題を受け、昨年5月の理事会でプロ選手らに研修会の受講を義務付けることを承認した。海外を転戦する選手にはインターネットを使って研修を受けられるよう制度化したが、出ばなをくじかれた形だ。世界に散るプロ選手たちは個人事業主という面もあり、防止策の周知は困難なのが現状。それでも高橋室長は「対応に限界はあるが、やるべきことをやる」と再発防止を誓った。