日本テニス協会は寝耳に水!! テニスの不正監視団体、TIUが八百長行為などの不正があったとして、男子の三橋淳元選手(27)に永久資格停止と罰金5万ドル(約550万円)の処分を科したことを受け、日本テニス協会が17日夜、都内で記者会見した。

 冒頭のあいさつで、協会の福井烈専務理事は「とても残念なニュース。日本国籍の元テニス選手が不正行為に関与して大変遺憾です」と怒りをあらわにした。

 協会によると、16日午後3時50分頃にTIUからメールで連絡を受けて不正が発覚。事前勧告はなく、寝耳に水だった。15年11月の南アフリカの下部ツアーでコーチを務めた選手を通じて、シングルスは2000ドル(約22万円)、ダブルスは600ドル(約6万6000円)の敗退行為を働きかけ、翌12月のナイジェリアの下部ツアーでは直接、選手に八百長行為を持ち掛けた。さらに同10~11月にはテニスの試合で禁止されている賭博行為を計76回行ったという。三橋はTIUの調査への協力を全面拒否して、日本人初となる「永久追放」という厳しい処罰を受けた。

 協会は不正発覚後、事実確認のために家族らに連絡したが、いまだに連絡はついていないという。ベトナムでビジネスをして海外在住であることは確認できているが「今、どこにいるかは分からない」(協会関係者)とのこと。携帯は圏外でEメールもエラーで戻ってくるという。

 三橋を知る協会関係者は「単独行動するタイプだった。クラブチームには所属せずに、自分でテニスコートを借りて、仲間とやっていた。活動拠点は国内よりもドイツなどの海外だったが、違法行為をするようには感じなかった」と証言。しかし、一部ではトラブルメーカーとしても知られていた。

 協会としては昨年のバドミントンの賭博問題を受けて、法令順守の強化に取り組んでいる最中だった。昨年5月から海外で活動するプロ選手らにも研修を受けることを義務付け、インターネットを使って研修を受けられるよう制度化した。

 スポーツ庁からの要請もあり、代表選手には違法行為に対してのアンケートも実施。さらに、同12月には警視庁から専門家を呼んで、賭博や薬物などの違法行為に関しての特別講義を開催した。福井氏は「法令順守ついては取り組んできたが『全ての選手か』というと、登録選手以外にもどう伝えるのかということをもっと考えないといけない。テニスは個人競技で世界中を回っている。テニスだけではないが、個人競技ゆえにこういったことに注意しないといけない」と話した。

 三橋は6歳でテニスを始めた。04年全国中学生選手権で優勝。05年16歳以下国別対抗戦ジュニア・デビス杯では錦織圭とともに世界5位に導いた。07年11月にプロ転向し、シングルの世界ランキングは09年に記録した295位が最高。15年4月以降は選手登録が抹消された。

 今回の処分を受けて、日本テニス協会は三橋の再登録や指導者としての登録を認めず、過去に接点のあった選手からも聞き取りする可能性を示唆した。