ラグビートップリーグの近鉄で新主将に任命されたフッカー樫本敦(29)が25日、東大阪市の花園ラグビー場練習グラウンドで今季の抱負を語った。昨季はリーグ13位となり、入れ替え戦で残留を決める悔しさを経験。主将を3季務めたプロップ豊田大樹(28)からバトンを受け継ぎ「打倒トップ4(サントリー、ヤマハ発動機、パナソニック、神戸製鋼)。FWはスクラム、ラインアウトの成功率日本一を目指したい」と目標を設定した。

 2季目を迎える坪井章監督(39)から話があったのは3月。頭の中では「FWリーダーぐらいかな?」と考えていると、主将の打診だった。驚いて「考えさせてください」。1週間の熟考を経て「『自分でいいのか』と考えたけれど、やらなかったら後悔する。いい経験になると思った」と腹をくくった。大阪・大商学園高、摂南大を経て入団した8年目。昨季はリーグ全15試合に出場した中心選手として、新たなステップを踏むことを決断した。

 待ち受けるのは未体験の環境だ。今季から本拠地の花園ラグビー場が19年W杯に向けた改修に入り、トップリーグで使用できなくなる。現在は改修中の第1グラウンドの隣にある練習場で汗を流すが、周りは工事用のフェンスで囲まれ、インゴールの一部も使えない状況だ。チームは熱狂的なファンに支えられており「花園は僕たちを力づけてくれる場所だった」。それでも「ここでできないからといって、言い訳できない」と力を込める。

 FWの一員として求めるのは、自分たちの形の確立。セットプレーでは「口うるさく言っている」と細かな部分を徹底する。BKコーチとして元日本代表五郎丸歩(31)が所属するフランス1部リーグのトゥーロンでBKコーチを務めたスティーブン・ミーハン氏が加入。新しい風もチームに取り込み、強化が進み始めている。

 6月2日には大阪府警と今季初の対外試合(オープン戦)を行い、チーム作りは本格化する。開幕戦は8月18日、金鳥スタで豊田自動織機が相手だ。真夏のスタートダッシュへ、妥協のない準備が始まっている。