リオデジャネイロ五輪男子62キロ級4位の糸数陽一(26=警視庁)が、肋骨(ろっこつ)にひびが入っている状態で、スナッチ130キロ、ジャーク152キロ、トータル282キロをあげ、4年連続5度目の優勝を果たした。

 自身がリオ五輪で出したトータル日本記録302キロを超え、同大会での銅メダル記録305キロを上げることを目標にしてきたが、不運にも3週間前に右の鎖骨奥にある第一肋骨(ろっこつ)にひびが入った。本格的な練習を再開できたのは大会3日前。秋の世界選手権(11月、米国・アナハイム)を見据え、今回は無理をせず、優勝できる最低限の試技をこなした。「ギリギリで悔しいが、世界につながるように一からやっていく」と前を向いた。

 糸数は、沖縄の離島久高島生まれ。20日、同じ沖縄出身のプロボクサー比嘉大吾(21=白井・具志堅スポーツ)がWBCフライ級タイトルを奪取したのをテレビで見て「パワーをもらった」という。「沖縄県から世界に羽ばたく人がたくさん出てくれば、沖縄がもっと元気になる。私も比嘉くんに負けないように、頑張りたい」と話した。

 3年後の東京五輪では、久高島の“おじい、おばあ”にお土産としてメダルを持ち帰ると決めている。まず、この秋の世界選手権で「金メダルを目指す」。84年ロサンゼルス大会以来、日本男子36年ぶりの五輪メダルへ、挑戦は続く。